岡山(倉敷)大会現地便り ⑫

2021年7月14日

新英研ならではのオンライン大会に

豊田 佳香(とよた・よしか 岡山・高校教員)

 2021年の新英語教育研究会の全国大会(7月31日、8月1日)は、全面オンライン開催となりました(詳細は、今月号にとじ込まれている案内チラシをご参照ください。

新英研の魅力を存分に味わってほしい
 大会には毎年、「明日の授業、どうしよう…」「自分の指導にもっと自信がほしい」と悩む、若い世代の参加者も多く参加しています。著名な研究者や知識人の講演や現場教員による実践発表、ワークショップ、ご当地ならではのテーマ別学習など多彩に学べることが大会の最大の魅力です。しかし私は、他に追随を許さない魅力がもう一つあると思っています。
 一昨年の2019年には久しぶりに閉会行事に参加することができました。新英研では全国大会閉会の際、初めて参加なさった方に感想を述べていただくコーナーがあります。その年も4名の初々しい若者が大勢のベテラン参加者を前に、胸の内を語りました。大会参加で得られたことや新鮮な感動と共に、青年教員が直面している教育現場の厳しさと、懸命に取り組む様子が語られ、心打たれるシーンでした。そして、涙をこらえつつ語る若い教師の姿を見つめる参加者のまなざし、声かけのなんと温かいこと!
 Society5.0に対応する個別最適化された教育のもと、ICTの利活用が進むことで、確かに「学校」「教室」という枠組みは必要でないかのように語られがちです。しかし、コロナ禍の下ますます明らかになったのは、全人的な成長・発達を支えるふれあいの機会、困難な子どもたちにとってのセーフティネットとしての役割を持つ「学校」は、依然必要とされているということです。心通う「育みの場」としての教育実践を積み重ねてきた新英研ならではの温かさが通底している、そんな研究会が他にあるでしょうか。オンラインでの開催になりましたが、この魅力がウェブを通じて全国に伝わることを願ってやみません。

改めて見つめる「教育の役割」とは
 昨年、倉敷市芸文館を会場に開催される予定だった本大会は1年延期になり、残念ながら皆さんに倉敷を訪れていただくことはかないませんでした。
 倉敷の主幹産業を担育ててきた一族に生まれ、歴史の面影を色濃く残す観光の町としての礎を築いた実業家、大原総一郎は、若き日の3年間をヨーロッパで過ごしました。世界中を巻き込む大戦へと向かう不穏な空気を肌で感じて過ごした総一郎は、「1936年から1938年までの間、私は欧州の運命が刻々に危急を告げ、終に破局の一歩手前に至るまでの間、その広がりゆく暗雲の下に最後の自由に憧れ、又それを次々に失ってゆく諸国民の運命の声を聞きながら生きていた。」と書き残しています。未曾有の感染症拡大、気候変動、頻発する弾圧、内紛、そして日本でも繰り広げられる政府や官僚による隠蔽、偽証、汚職…、今の私たちも「暗雲の下の諸国民」であるように思われます。かの時代を乗り越えた総一郎が生きていたら、今度はどのような選択をし、行動するのでしょうか。
 鳥飼玖美子さんの記念講演の演題が「英語教育を再考する-ポスト・コロナ時代におけるコミュニケーションの視点から」と決定されました。困難な状況でこそ、世界を確かな目で見て判断する力、解決する力が求められます。コロナ禍を経て教育に何ができるのか、何をどうするべきなのかを共に模索し、語り合う大会にもなるのではないでしょうか。
 全国の皆さんのご参加、お待ちしています。
倉敷民芸館 倉敷民芸館(大原家が建設費を寄贈)