岡山(倉敷)大会現地便り ⑧

2021年7月14日

岡山から願いをこめて 〜2021年はぜひ倉敷へ


豊田 佳香 (とよた・よしか 岡山・県立高校教員)

コロナ禍の年となった2020 年。全国大会は延期に
 残念なことに,2020 年8月に岡山県倉敷市で行われる予定だった新英語教育研究会第57 回全国大会は,2021 年7月31 日,8月1日(総会は7月30日)に延期されました。新型コロナウイルス感染症の影響は予測が極めて困難で,刻々と変化する状況の下,学校現場は対応に追われ,子どもたちとその家族も先の見えない不安な生活を強いられています。この文章を書いている5月9日現在,全国各地で臨時休校は延長となり,岡山県下の多くの小・中・高校も月末までの休校が決まっています。子どもと教職員の命と健康を守るための物的・人的・制度設計等の適切な措置が行われることにより,この困難が一刻も早く終息すること,そして来年度こそは無事みなさんを倉敷でお迎えできることを願ってやみません。

教育をめぐって,いま本当に望まれていることは何?
〜岡山の英語教育から考えさせられること
 この厳しい情勢は教育に関しても多くの問題を浮き彫りにし,私たちにつきつけています。遠隔教育,ICT 活用が急ピッチで進められるのに伴い,これを機会に公教育への民間教育産業の参入が拡大されようとしています。「個別最適化された学習」の名のもとに学びの共同性が後景へと追いやられるのではないか,個人情報がビッグデータとして「利活用」されるのではないか,AI による個別の学習管理は教育の在り方を変えてしまうのでは…など,懸念は膨らむばかりです。

 岡山でも従来から「教育県岡山の復活」を重点“戦略”としてさまざまな新規事業を行っています。ねらいは「グローバル化する社会において,さまざまな分野で主体的に活躍する人材の育成」です。ここでは,岡山の教育施策を一部紹介したいと思います。

 英語教育の分野では,「国際化に対応した教育」の指標を英検などの民間資格試験に求めています。中学3年生で3級以上,高校3年生で準2級程度の英語力を有する生徒をそれぞれ6割にすることを目標に定めました。さらに準1級以上などを取得している教員の割合として中学では50%,高校では75%を目標としており,達成していない教員に対しては県教育センター主催の研修への参加が推奨されました。この研修は計4日間に及ぶもので,希望制ではありましたが参加のない学校には県より催促の電話があり,対象者の自主性や校務などにおける多忙の実態などは考慮されない,ほぼ義務付けられたものといえるものでした。

 学校教育として英語を「教える力」は,単純に言語運用能力だけで測れるものではないことは自明です。健康を損なうほどの多忙で研修する時間もままならないなか,私たちの教育の力を高めるために,研修の自主性を担保するために,本当はどういったことが必要なのかを考えさせられます。

子どもにも教員にも,視野を広げる豊かな学びを
 困難な情勢下ではなおさら,世界を確かな目で見て考える力が必要です。教育も重要な役割を担っています。2021 年の全国大会では,鳥飼玖美子先生の記念講演をはじめ,魅力溢れるラインナップでお迎えします。とくに,分科会や講座などで積み重ねられた実践を学べるだけでなく,参加者を含む交流やディスカッションを通して学びをさらに深めることができる点は,まさに新英研ならでは,何よりの醍醐味です。来年はぜひ倉敷へお越しください!